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2018年5月23日に、不正競争防止法等の一部を改正する法律(平成30年5月30日法律第33号)が可決・成立しました。

平成30年度 特許法、不正競争防止法等の一部改正について

不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が平成30年5月23日に可決・成立し、5月30日に法律第33号として公布されました。

施行日は、「一部の規定を除き、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、規定ごとに施行日が異なっています。施行日が確定しているものは、各規定の説明箇所に記載します。

 

<産業財産権法(特許法・実用新案法・意匠法・商標法)>

(中小企業等を対象にした特許料等の軽減措置)

これまで一部の中小企業等が対象であった特許料等の軽減措置の対象が拡充されます。この規定は、公布の日から1年以内の政令で定める日が施行日となります。なお、全出願人等を対象に、減収見込み額見合いの料金引き上げが予定されています。

【対象】

全ての中小企業・試験研究機関等が対象。従来、3分の2の軽減措置などがありましたが、その対象は、中小企業全体の1/3程度の利用にとどまっていました。

【手続】

現行の軽減措置手続に比べて簡素化される予定

【軽減措置の内容】

(国内出願)審査請求料・特許料(1~10年)を一律半減

(国際出願)調査手数料・送付手数料・予備審査手数料を一律半減

【コメント】

今回の改正法が施行されますと、全ての中小企業が軽減対象となり、また、手続上煩雑となっていました各種証明書の提出が不要となるため、ディスカウント率は低くはなるものの、総合的にみて、今まで以上に使いやすくなると思われます。なお、この制度は、米国からの輸入(米国の「Small Entity」の制度:小規模団体に該当する場合には、特許出願費用等50%減額)と思われます。

 

(新規性喪失の例外規定)

特許・実用新案の新規性喪失の例外規定(特許法第30条の規定)について、新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)が6ヶ月から1年に延長されます。

また、意匠についても新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)が6ヶ月から1年に延長されます。

これらの新規性喪失の例外規定の改正は、平成30年6月9日に施行され、同日以降の出願に適用されます。ただし、平成29年12月8日までに公開された発明、考案及び意匠については、施行日(平成30年6月9日)以降に出願しても、新規性喪失の例外の規定は適用されない点に留意する必要があります。

詳細につきましては、下記特許庁のサイトを参照してください。

特許法:https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/hatumei_reigai_encho.htm

意匠法:http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ishou_reigai_encho.htm

コメント

新規性喪失の例外の適用を受ける場合、本改正前の日本では6カ月の期間しか認められていません。米国や韓国では1年が認められています。日本は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を見据えて、米国の1年という例外適用期間(グレースピリオドという)に合わせる予定で準備をすすめてきました。しかし、トランプ大統領が就任後早々とTPPからの離脱を表明したことから、グレースピリオドの延長の話がどうなるかと思われる状況でした。ここにきて、特許法の改正を機に、グレースピリオドの延長を導入することになりました。

 

(クレジットカードによる特許料等納付)

特許料等又は手数料の納付方法は、特許印紙、特許印紙予納、現金納付、電子現金納付、及び、口座振替に加え、新たにクレジットカードによる納付が認められます。

 

(知財紛争処理手続きの拡充)

①裁判手続の拡充:裁判所が書類提出命令を出すに際して、非公開(インカメラ)で書類の必要性を判断することができるようになります。また、非公開(インカメラ)で書類の必要性等を判断するにあたり中立の専門家(専門委員)が関与できるようになります。

②判定制度の拡充:判定制度の関係書類に営業秘密がある場合に、閲覧制限をすることができるようになります。

 

(商標登録出願の分割の適正化)

商標登録出願の分割の適正化がされました。商標登録出願の分割要件に、「親出願の出願手数料が納付されていること」という要件が追加されました。この商標登録出願の分割の適正化は、平成30年6月9日以降の分割出願に適用されます。

詳細につきましては、下記特許庁のサイトを参照してください。

http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan_180608.htm

http://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/bunkatu_kyouka.htm

コメント

この改正は、金を払わずに商標出願をし、その出願中に他人に警告や他人からの譲渡申し込みを待つビジネスを行っている人への対策と思われます。その人は、分割出願を行うことで、出願の延命を図っているため、その延命を阻止するのがこの改正です。

 

(その他)

意匠の優先権書類のオンライン交換制度が導入されます。

 

産業財産権法以外の法律

<不正競争防止法>

ビッグデータ等のデータの不正取得・使用等に対する差止めの創設

○今回の改正でID・パスワード等の管理を施した上で事業として提供されるデータ(例えば、ビッグデータ等)の不正取得・使用及び開示行為が不正競争行為に位置づけられます。

また、上記行為について差止請求権等の民事上の救済措置が設けられます。

 

「プロテクト破り」の強化

○従来、暗号等の技術的制限手段の効果を妨げる「プロテクト破り」を可能とする機器の提供等のみが不正競争行為とされていましたが、今回の改正で「プロテクト破り」を可能とする役務の提供等も不正競争行為に位置づけられます。

 

裁判手続の拡充

産業財産権法の知財紛争処理手続(裁判手続の拡充)と同様です。

詳細につきましては、下記特許庁のサイト又は経済産業省のサイトを参照してください。

特許庁:https://www.jpo.go.jp/torikumi/kaisei/kaisei2/fuseikyousou_h300530.htm

経済産業省:http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180227001/20180227001.html

 

<不正競争防止法以外の法律>

(日本産業規格JISの対象拡大)

日本産業規格JISの対象にデータ、サービス、経営管理等が追加されます。

認証を受けずにJISマークの表示を行った法人等に対する罰金刑が、改正前の上限額(100万円)から1億円に引き上げられます。

(弁理士業務の拡大)

弁理士業務に、データの利活用や規格(JIS等)の案の作成に関して知財の観点から支援する業務が追加されます。

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